TPU 95A 3D prints

フレキシブルフィラメントとは何か?何を選ぶべきか?

用途

フレキシブル3Dプリンティングフィラメントは、デザイナーやエンジニアに多くの可能性をもたらします。複雑で弾力性のある形状を社内で簡単に生産でき、柔軟な機能のプロトタイピングからカスタム工具の製作まで、さまざまな方法で使用できます。

しかし、初心者の3DプリンターユーザーにとってTPUなどのフレキシブル材料でのプリントは、他の材料のように簡単にはできないので面倒に感じるかもしれません。

ここでは、フレキシブルフィラメントの使用方法と利点について詳しく紹介します。

フレキシブルフィラメントとは

フレキシブルフィラメントは、硬質プラスチックとゴムの特性を兼ね備えた材料です。この混合物は、熱可塑性エラストマー(TPE)と呼ばれています。熱可塑性エラストマーはゴムと同じように作用し、大きく伸ばしたり、ねじったりしても破損しません。

フレキシブルフィラメントにはさまざまな種類があり、特に弾力性が高いものもあります。最も一般的に使用されているのは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)です。

フレキシブルフィラメントの長所と短所

フレキシブル3Dプリンティングフィラメントには、以下のようないくつかの大きなメリットがあります。

  • 優れた弾力性。伸ばしたり、動かしたり、曲げたりできるフィラメントが必要な場合には、理想的な材料です。

  • 耐衝撃性。大きな衝撃を加えても、フレキシブルフィラメントでプリントされた製品は、通常は変形しません。

  • 防振性。ゴムのように振動が抑える特性を持つ材料であるため、機械または工業用途の部品で役に立ちます。

一方で、以下のような欠点もあります。

  • プリントが難しい。PLAでのプリントに慣れている場合は、TPUのようなフレキシブルフィラメントのさまざまな特性を把握する必要があります。糸引きが発生することがあり、見た目の美しさが求められるプリント用途には、あまり適していません。オーバーハングのブリッジングも難しくなる場合があります。

  • 後処理。TPUは一般に、完成した成果物に対する後処理の選択肢があまりありません。

A 3D printed gasket prototype
適合テスト用に3Dプリントされたガスケットのプロトタイプ
A 3D printed robot gripper
TPUインナーグリップでしっかり握れるロボットグリッパー

フレキシブルフィラメントの一般的な用途

TPUのような材料には、いくつかの用途があります。

  • 機能プロトタイピングと適合テスト。携帯電話のケースやシールなど、弾力性のある製品や部品を製作する場合に、実際に近い柔軟性で機能をテストできます。

  • カスタム工具製作。フレキシブルフィラメントにより、ハンドルやグリッパー部品など、延性のある工具を製作できます。

  • 最終用途部品。ゴムのような特性が望ましい使用可能部品やスペア部品は数多くあります。特にTPUのような材料を使えば接触部をより柔らかくできるので、生産ラインの製品が機械との接触で損傷するのを防げます。

フレキシブルフィラメントを使用する一般的な産業

3Dプリンティング材料の種類が増えるにつれ、フレキシブルフィラメントは幅広い産業への普及がますます進んでいます。

自動車産業では、車両のパネルやホイールの多くは組み立て時の衝撃に耐える必要がありますが、損傷があると大きな廃棄コストの原因になり得ます。フレキシブル材料を使用することで、車両の部品を傷つけにくい3Dプリントのカスタム工具を、より迅速かつ低コストで製作できます。

A 3D printed automotive tool
車両のエンブレムを正確に配置するための工具、接触面を柔らかいTPUで製作
Operator placing emblem on vehicle with tool
Volkswagen Autoeuropa社の生産設備で使用されている工具

コンシューマー製品の業界にも、製品包装ラインに同じようなニーズがあります。下の青いスペア部品は、Heineken社のセビリア醸造所でTPU 95Aによって3Dプリントされたもので、コンベヤのベルト上にあるビール瓶のパックを誘導するのに役立っています。

3D printed spare parts for a packaging line
3Dプリントされたスペア部品(青でプリント)によって製品を優しく誘導

また製品および工業デザインの分野では、フレキシブルフィラメントを使用して、自転車のハンドルから機械部品まで、多くのプロトタイプをテストできます。

ハードウェア要件

非常に多くのTPUおよびTPEフィラメントがあり、要件はフィラメントごとに異なります。Ultimaker 3Dプリンターでは、Ultimaker 2+、Ultimaker 3、およびすべてのSラインモデルでUltimakerのTPU 95Aがサポートされています。

Ultimaker TPU 95Aでプリントする場合は、以下のハードウェア要件を満たす必要があります。

  • 温度。ビルドプレートは非加熱または最大70°C、ノズル温度は220〜235°Cにする必要があります。

  • 冷却ファン。最高の結果が得られるようにするには、3Dプリンターに部品冷却ファンも必要です。

  • 接着方法。ほとんどの場合、接着性を高めなくてもプリントは正常に行えますが、Ultimakerでは、ガラスビルドプレートに接着剤やMagigoo Flexを薄く塗布することをお勧めしています。

フレキシブル3Dプリンティングフィラメントにエンクロージャーは必要ありませんが、安定性が高まるのでプリント環境を強化できます。

フレキシブルフィラメントタイプの選択

さまざまなフレキシブルフィラメントから選ぶことができます。以下は、Ultimakerで提供している材料や、事前設定されたプリントプロファイルによってUltimaker 3Dプリンターで簡単にプリントできるフィラメントの概要です。

フレキシブルフィラメントでのプリント方法

市場にはさまざまなフレキシブル材料があるため、メーカーの推奨設定を確認することが重要です。

Ultimaker 3DプリンターとUltimaker Curaソフトウェアで上の表にあるいずれかの材料を使用している場合は、事前設定されたプリントプロファイルを取得できます。これにより、プリントジョブの設定の手動選択にかかる時間を大幅に節約できます。

Ultimaker TPU 95Aでのプリント方法の詳細については、サポートページをご覧ください。
Ultimakerのフレキシブル材料の範囲については、このウェブサイトの「材料」ページをご覧ください。

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