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PLAを使用した3Dプリントの方法と選択すべき材料

用途

PLAフィラメント(ポリ乳酸)は精度と信頼性に優れており、3Dプリンティングが容易です。また、費用対効果も高く、設計作業を何度も行う場合や複数の部品の製作を行う場合にメリットがあります。そのため、世界で最も普及しているプリンティング材料の1つであるのも当然と言えます。

このガイドでは、PLAを使用した3Dプリンティングの主なメリット、さまざまなタイプのPLA材料、要件に合った適切なフィラメントを選ぶ方法について解説します。

PLA 3Dプリンティングを選ぶ理由

PLAには多数のメリットがあります。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 使いやすさ

  • コスト – 他のフィラメントに比べて安価

  • 汎用性 – さまざまな用途に適している

  • 環境保全性 – サトウキビなどの作物から作られた、生分解性ポリマーである

  • 剛性と強度

  • 寸法精度

  • 保存寿命が非常に長い

  • 滑らかな表面 – 塗装が簡単(アクリルまたはエナメル塗装)

  • たわみが小さい

  • 印刷温度が低い

PLAは、複合材料やその他の材料と混ぜることもできます。そうすることで特殊な性質を付与し、暗闇の中で光らせたり、木に似せたりすることができます。

利用できるPLA材料と、その長所および短所

PLAには複数のタイプがあり、それぞれに異なるメリットがあります。

PLA。標準PLAは最も普及しているPLAであり、通常はさまざまな色が用意されています。

  • 長所 – 剛性が高く、プリントしやすく、たわみが小さい

  • 短所 – 耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性が低い

PLA+またはPLAプラス。これらはPLAに変更を加えたものであり、さまざまな形態で提供されます。一般に、強化された形態のPLAは、より優れた耐衝撃性や機械的性能を備えています。代表的な例がUltimaker Tough PLAで、機能プロトタイプや大型工具のプリントに最適です。

  • 長所 – 機械的特性が向上しており、より多くの用途に適している

  • 短所 – 標準PLAよりも高価で、通常は他のポリマーが含まれている

エコPLA。Kimya PLA-RなどのPLAフィラメントは、リサイクル素材から作られており、生分解性を備えています。また、ラピッドプロトタイピングや工具製作に適しています。

  • 長所 - 使いやすく、表面仕上げが高品質で、97%が再生材料で構成され、優れた寸法精度を備えている

  • 短所 - 標準PLAよりも高価

PLAフィラメントの一般的な用途

PLAは最も汎用性の高い材料の1つであり、さまざまな用途に適しています。PLAフィラメントで3Dプリンティングを行う場合の最適な使用方法を、いくつかご紹介します。

PLA Schubert packaging machines
Gerhard Schubert GmbH社は、PLA+を使用して自社の包装機用の工具を製作している
  • プロトタイプ。プロトタイピングプロセス中に製作を複数回繰り返す場合は、手頃な価格、信頼性、使いやすさを兼ね備えたフィラメントを使用することが重要です。Idea Reality社では、PLAなどの材料を使用して自社の設計のプロトタイプを製作し、社内での3Dプリンティングによってプロセスを迅速化しています。そうすることで、同社は製品の市場投入までの期間を大幅に短縮できます。

  • モデルと視覚補助。PLAフィラメントを使用した3Dプリンティングでは、必要に応じて細部を高いレベルで形成できます。Killa Design社のような建築設計事務所にとっては魅力的な材料であり、同事務所は、PLAを使用して建築設計のスケールモデルを製作しています。料に関する3回シリーズの最終回では、材料に機械的特性を付与するプリンティングフィ製作したモデルは、複雑な概念を説明するために顧客に見せたり、教育プロジェクトに使用したりできます。

  • 工具。PLA、特に寸法精度に優れ、堅牢性と耐久性を備えたUltimaker Tough PLAは、工具製作に適しています。Gerhard Schubert GmbH社などの企業は、PLA+などの材料を使用して、自社の包装機用の新しい工具を製作しています。

  • インベストメント鋳造。金属部品を製作する場合に、費用対効果の高い手法がインベストメント鋳造です。PLAは、金型の3Dプリントに簡単に使用できるので、そのようなプロセスに最適な材料と言えます。

Killa design model PLA
建築設計事務所のKilla Design社は、PLAを使用して建物のスケールモデルを製作している

PLAフィラメントを使用する一般的な産業

PLAは最も広く使用されている材料の1つですが、その主な理由は汎用性がきわめて高い点にあります。多くの業界が、さまざまな理由からPLAでの3Dプリンティングを高く評価しています。次に挙げるのは、そのほんの数例です。

Heineken tools PLA
Heineken社では、Ultimaker Tough PLAを利用し、瓶詰め工場で使用するカスタム工具を製作できるようにしている
  • 工業用。PLAは、治具、固定具、工具の製作に使用できます。Heineken社では、Ultimaker Tough PLAを使用して、保守作業用のカスタム工具を製作しています。PLAフィラメントは手軽で信頼性の高い材料なので、スペア部品や工具をすばやく用意でき、生産ラインのダウンタイムを最小限に抑えられます。

  • コンシューマー製品。この業界の多くの企業は、PLAで最終用途製品を製作しています。設計会社のFlorenradica社は、Ultimaker PLAを使用してバッグ、靴、ハイヒール、宝飾品用のアクセサリーやボタンなど、顧客向けの部品を製作しています。優れた仕上がりが得られ、細部を高いレベルで造形できる材料なので、適切な選択と言えます。Florenradica社では、プロトタイピングにもPLAを使用しています。

  • 医療。モデルをすばやく簡単にプリントして、患者に手順を説明したり、研修医を教育したりするために使用できます。整形外科医のBoyd Goldie氏は、次のように語ります。「最新の放射線ソフトウェアでは、仮想モデルを画面上に表示できますが、やはり手に取って扱えるモデルが一番わかりやすいです」

  • 教育。多くの専門家は、直接ものに触れられる教育、または少なくとも間近で観察できる教育で、最も高い学習効果が得られると考えています。オランダの国立自然史博物館、ナチュラリス生物多様性センターでは、PLAを使用して恐竜の骨格標本の欠けている部分を再現し、これまでは不可能だった過去を垣間見る体験を博物館の来場者に提供しています。

Dinosaur shoulder PLA
3DプリントされたT・レックスの肩胛帯。ナチュラリス生物多様性センターにある骨格標本。よく見るとつなぎ目があり、成果物を1つ1つつなぎ合わせて作られていることがわかる

ハードウェア要件

PLAで3Dプリンティングを行う場合は、ハードウェアに以下の機能が備わっているとメリットが得られます。

  • ヒーテッドベッド。必須ではありませんが、低温から中温で密着性が高まることにより、プリント結果が向上します。

  • エクストルーダー温度ゲージ。ほとんどのPLAフィラメントは、温度を約200°Cにする必要があります。

  • 冷却ファンとエンクロージャー。これらはPLAでのプリントに必須の機能ではありませんが、使用すれば優れた結果が得られます。

PLAフィラメントタイプの選択

PLAは、FFF(熱溶解積層法)3Dプリンティングの市場で最も広く提供されている材料ですが、品質には大きな差があります。

特にUltimaker 3Dプリンターでプリントする場合は、Ultimakerの材料か、Ultimakerマーケットプレイスで提供されている材料を使用することをお勧めします。そうすることで、事前設定済みのプリントプロファイルを利用できるだけでなく、セットアップ時間が短くなり、プリントジョブの準備時にエラーが発生する可能性も低下します。

  • Ultimaker PLA。高精細モデルの製作から、インベストメント鋳造用の金型インサートの製造まで、さまざまな用途に適しています。PLAはほとんどの業界の用途に対応します。プロトタイピングや小型工具の製作に最適です。

  • Ultimaker Tough PLA。Ultimaker Tough PLAは、ABSと同じような靭性を備えています。そのため、機能プロトタイプ、機械部品、大型工具のプリントに適しています。このタイプのPLAは、工業や航空、自動車などの産業に、より適しています。

  • Kimya PLA-R。Kimya PLA-Rは、完成部品や工具を製作するのに最適です。また、ラピッドプロトタイピングにも適した選択と言えます。優れた美的特性も備えているので、デザイナーやコンシューマー製品の製作者にとってもメリットがある材料です。

PLAフィラメントでのプリント方法

PLAフィラメントはそれぞれ異なるため、製造元の指示に従うことをお勧めします。

当社のサポートページでは、PLAとTough PLAでのプリント方法の包括的なガイドを、互換性のあるプリンターと材料、良好な密着性の確保、プリント環境の最適化についての情報と併せてご覧になれます。

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