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高まる重要性:3Dプリンティングと自動車産業

用途

車両の設計と構築は、多くの可動部品を同時に器用に操ることであり、例えるならまさにジャグリングのようです。製造や設計のプロセスでは、作業への取り組み方が非効率的であれば、必ず余分な時間と費用がかかることになります。

特に、毎分の製造コストが42万706ドルに達することもある業界において、このような事態が日常的に発生すれば、持続することは不可能です。こうした理由から、自動車メーカー各社が3Dプリンティングに目を向けています。この技術を使用して、自動車メーカーは機能プロトタイプ、治具、工具など、道具類や部品を設計してプリントし、製造プロセスの効率を高めるために使用できます。

カスタムの工具と治具

3Dプリンティングが、性能に関しても違いを生み出しています。Van Amersfoort Racingは、フォーミュラ3やフォーミュラ4の各種選手権でしのぎを削っています。これらの選手権では、炭素繊維強化材料を使用して3Dプリントされた工具や治具によって、エンジニアやメカニックが車のセットアップやチューニングを素早く行うことができます。10分の1秒は大した時間ではないと思われるかもしれませんが、最上級のモータースポーツでは大きな違いとなります。

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Ford社やVolkswagen Autoeuropa社が運営するような自動車パイロット工場では、場合によっては量産に入る数年前に、新型の車両モデルが小規模な製造ラインで生産されています。これらのパイロット工場はペースの速い環境であり、多くの場合、業界の最先端にあります。こういった工場で働くエンジニアに時間的な余裕はないものの、特定の車両での特殊な作業には、カスタムのさまざまな工具や治具を使用することが求められます。たとえば、Ford Focusだけでも50個を超える工具や治具が必要です。

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コストをかけずに迅速な反復を可能にし、生産ラインの効率を維持するために、Ford社とVolkswagen Autoeuropa社は3Dプリンティングを活用しています。エンジニアが工具や治具の製造を管理することで、最も重要なこと、すなわち高品質の車両を設計して生産することに時間と労力を割けるようになりました。

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「当社ではプロトタイプ車両で工具を試すため、ここでは主に工具を設計しています」と言うのは、Ford社のリサーチエンジニアであるRaphael Koch氏です。「つまり、工具を実際に試験することができるということです。工具が機能していることが分かれば、ファイルを各地の工場に送り、車両の大量生産のために現地で工具を再現することができます。」

反復プロトタイプ

車両や自動車部品は生産ラインで生まれていますが、その構想はプロトタイピングを通して練られています。プロトタイピングとは反復プロセスであり、これまではかなり高価で時間のかかるものでした。しかし、3Dプリンティングに一歩踏み出すことを選択した企業は、この技術がワークフローを改善し、生産にとって不可欠となることに気付き始めています。

AudiやBMWといった高性能車両向けの車両吸気装置を開発するEventuri社は、そのような会社の1つです。Eventuri社では、吸気ダクトプロトタイプの設計、製作、反復、試験にUltimaker 2+プリンターとUltimaker 2 Extended+プリンターを使用することで、費用と時間を従来のほんの一部に抑えることができています。

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Eventuri社によって設計されたBMW M4向け吸気ダクト

「3Dプリンティングによって優れた柔軟性が得られ、設計を練り上げて最適なソリューションにたどり着くことができます」と、Eventuri社の創設者であるBilal Mahmood氏は語ります。

最終用途部品

ニューヨークを拠点とするTucci Hot Rods社は、カスタマイズされた車を改造する際、3Dプリンティングをさらに一歩進め、生産コストをほぼ90%削減すると同時に、修理工場の稼働スピードを通常のほぼ3倍にすることに成功しています。

「3Dプリンティング技術を利用できない場合、(部品の)CNC加工は外部の機械工場で施さなければならないでしょう。そうすると、外注に伴う長いリードタイムを考慮して、プロセスが長期間になる可能性があります」と、Tucci Hot Rods社の設計者であるDom Tucci氏は言います。

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2016年のSEMAショーに登場したFord Fiesta ST

Tucci社では、ラフモックアップから、カスタマイズされた車両に使用する最終部品まで、あらゆる用途にUltimakerプリンターを使用しています。たとえば、ラスベガスで開催された2016年のSEMAショーでTucci Hot Rods社が展示したFord Fiesta STでは、リアテールライト部とダッシュボードの部品に加え、3Dプリントによるその他の構成部品も特徴としてアピールしました。

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