オールドドミニオン大学は、Ultimakerの3Dプリンターを使用して、工学系の学生に新しいレベルのイノベーションと自信を与えています。
工学系の学生であったAric Veatch博士が2017年に同大学の新しい工学メイカースペースおよびインベンションセンター(EMIC)で手伝いを始めたとき、同センターのUltimaker製3Dプリンターに興味を引かれました。「Ultimakerのシステムの長期データと運用データは、身近な競合他社よりもはるかに優れており、購入コストは例外的でした」と、Veatch博士は言います。「心の中に最初に浮かんだのは、これらのシステムが期待どおりに機能するどうかを確認することでした」。
2017年、バージニア州のノーフォークにあるオールドドミニオン大学のフランク・バッテン工学技術大学の学部長は、学生が所有と運営を行う先進的なメイカースペースを創設するというビジョンを持っていました。その結果、150万ドルに上る工学メイカースペースおよびインベンションセンターが設立され、学生が新しい設計のアイデアを試すためのリソースが提供されました。センターでは、CADの設計とテスト、電子機器の生産、金属や木材、複合材の加工、溶接、仕上げ、3Dプリンティングなど、幅広いリソースを提供しています。
「このセンターは、クリティカルシンカー、リーダー、問題解決者としてのエンジニアを輩出するという使命を持って創設されました」と言うのは、フランク・バッテン工学技術大学の工学メイカースペースおよびインベンションセンター副学部長、Rafael E. Landaeta博士です。「私たちの目標は、学生エンジニアが、求人市場で評価の高い技能を身につけることで、必要な競争力を持てるようにすることです」。
ODU工学メイカースペースおよびインベンションセンター内
3Dプリンターを導入することで、学生がラピッドプロトタイピングツールを使用することができるようになり、従来の製造ツールが山積した付属の作業スペースエリアで完成部品を製作できるようにすることが目的でした。しかし、Veatch博士によれば、3Dプリンターと材料の品質は十分に高く、ほとんどの設計がメイカースペースで試作されているだけでなく、3Dプリントされた最終用途部品として生産されています。
「さまざまなプリンターを持つことを希望していましたが、メーカーの評判、サービスの長年にわたる信頼、製品の使いやすさに細心の注意を払いました」と、EMIC所長のOrlando Ayala博士は語ります。「Ultimakerは間違いなくすべての基準に合致していました」。
学習における進化
EMICは、アイデア出しとこれらのアイデアのプロトタイピングを可能とするよう設計されており、機会を利用することを熱心に望む多くの学生がいました。2台のUltimaker S3と1台のS5デスクトップ3Dプリンターは、瞬く間に工学部のシラバスに登場することになりました。Veatch博士は、大学院研究の一環として、3DプリンターやEMICの他の工学システムを運用する学生向け運用管理者に任命されました。
「3Dプリンターの使用が急激に増えました」と、Veatch博士は言います。「2019年11月までに、すべてのプリンターが常時使用され、需要に対応するためにさらにUltimaker S3を注文しました」。
Ultimakerのシステムでは熱溶解積層法(FFF)の技術が使用されており、デスクに置くことができるコンパクトなサイズでありながら、幅広い造形サイズに対応しています。S3の造形サイズは最大230 x 190 x 200 mmで、材料押出のデュアルノズルを備えており、S5は最大330 x 240 x 300 mmまで対応しており、どちらもレイヤー解像度は最小20ミクロンです。
これらの仕様によって、学生は物事を大きく考えることができます。創出されるアイデアや部品は、学生がカリキュラムのために部品を設計したり、製作したりするだけでなく、他の工学の課題のために部品を試したり、製作したりする段階まですぐに進化しました。
製作される部品は、ハンドスピナーや架空のキャラクターマスクから、調達が難しい車両用部品まで多岐にわたります。
白色のPLAでプリントされた4ストロークエンジンやテンセグリティテーブル(黄色のABS)、スパイラルクリスマスツリー(白色と青色のABS)、関節ハンド(灰色のPLA)を含むテストプリント
Ultimakerはまた、150を超える材料を顧客に提供しており、工学系の学生はすぐに自分たちが気に入ったものに集中しました。
「Ultimakerが提供する材料、特にTPUとPLAによって、ギアシフト用のブッシングなど、工学の特定の状況に合わせて最終用途部品を適切に提供することができます」と、Veatch博士は述べます。「3Dプリンティングの可能性に対する学生の概念が進化していく様子を目にすることは驚くべきことでした。学生はすぐに基本的なプロジェクトから非常に高度なプロジェクトへと進みました」。
「究極的には、」と、Veatch博士は加えます。「3Dプリンティングによって、3D空間で考え、より速いスピードで進化していく優れたエンジニア世代が生まれています」。
「Ultimakerとのメイカースペースの経験で、学生エンジニアは期待を完全に上回りました」と、Landaeta博士は語ります。「学生の成果に全く感心してしまいました」。
容易な操作
Veatch博士は、Ultimakerのプラットフォームを使用した生産について、次のような利点を挙げています。使いやすさ、容易なメンテナンス、高品質の材料、包括的なソフトウェア、低い所有コストです。
「3Dプリンターを箱から取り出してから、稼働するまでにかかった時間は30分です」と、Veatch博士は言います。「print coreを簡単に切り替えることができるため、プリンターの動作を継続させながら、別のプリンター設定を変えるといったことが容易にできます」。
Veatch博士はまた、PLAやTPUの材料を含め、Ultimakerが提供する高品質の材料だけでなく、制限なく他のソースからフィラメントを調達し、使用する自由にも言及しています。
Ultimakerのすべてのシステムには、無料の高性能3Dプリント準備ソフトウェアソリューションであるCuraソフトウェアが付属しています。このソフトウェアは、あらゆる主要なCADファイル形式で動作し、オープンソースであることから、誰もが利用することができます。
「Curaソフトウェアはプリントの準備に最適です」と、Veatch博士は続けます。「プリント中に、その場でプリントデータを変更することもできます。これは、ビルドを完全に再起動することなく問題を修正するのに役立ちます」。
仮想授業での工学教育
全国の教育機関の学生や教員に外出禁止令が発令されたことから、多くの授業が中断を余儀なくされました。しかし、Landaeta博士とAyala博士は、それを冷静に受け止め、仮想環境でどのように工学研究を行うことができるかという即席の、しかも予想外の予備研究としました。
「工学的プロセスの仮想化は、あらゆる商業的組織でうまく実施されています」と、Landaeta博士は言います。「ただし、これには時間と技術への十分な投資が必要です。この3か月は、工学において標準となるのに数年費やされると思われていたことを加速させたにすぎません」。
Landaeta博士は、部品や製品の生産における工学的プロセスの大部分は、実際の作業が占めていると指摘しています。つまり、設計作業は仮想空間で容易に実施することができる一方、プロトタイピング、テスト、生産、保守の段階では依然として物理的な空間での広範囲にわたるチームが必要であるということです。しかし、3Dプリンティングは、これらの制限のいくつかを克服するのに役立ちます。
夏季ブリッジプログラムは卒業予定の高校生に大学の工学課程を紹介するプログラムですが、近々行われるプログラムでは、3Dプリントされた部品は、仮想環境で授業を継続するための費用対効果の高い選択肢となりました。チームは費用対効果の高い3Dプリンティングを行い、トランスミッションモデル全体を学生に提供しているため、仮想環境でプログラムを継続することができます。
「低忠実度の3Dプリンティング技術は、自宅で保有することができるほど手頃な価格です」と、Landaeta博士は語ります。「プロトタイプに触れて、それを手に持ったり、動かしたり、他の物と比較してみたり、表面に触れて感じたりすることに代わるものはありません」。
この理論を証明するために、3Dプリンターはロックダウンの開始時にVeatch博士の自宅に運ばれましたが、このデスクトップ型の小さなフットプリントの扱いやすさは変わりませんでした。
「3Dプリンターを素早く簡単に移動することができます」と、Veatch博士は言います。「従来の大型製造機械を動かすことは容易ではなく、そのためのスペースも必要です。一方、Ultimakerの製品は、私の家で使用するのに十分なほどクリーンで小型です」。
3D設計データは、大学のイントラネット経由でVeatch博士に送信され、部品がプリントされた後、分析とテストのために学生に送り返されます。
「バッテン工学技術大学は、この工学のニューノーマルとなった教育を支援する予定です。私たちは今、仮想工学環境でエンジニアとして成功する方法を学生に教える必要があります」と、Landaeta博士は述べます。「3Dプリンティング技術は、これらの取り組みの最前線にあり、学生はキャンパスか自宅からプロトタイプを作成することができます」。
EMICでは現在、利用可能な3Dプリンター数をさらに増やすことを計画しており、今後12台から20台で稼働することを期待しています。また、EMICでは、Ultimaker Digital Factoryソフトウェアで3Dプリンティングの運用を拡大し、拡張に合わせて3Dプリンター群を管理できるようにすることも期待しています。
「私たちは、Ultimakerの3Dプリンターに非常に満足しています。学生は簡単に素晴らしいプロジェクトに携わることができました」と、Ayala博士は言います。「今後、Ultimakerの3Dプリンターをさらに購入する予定です」。